アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質(2)
今回は、どのようにしてDNAからタンパク質が作られるかを説明したいと
思います。
DNAは4種類の塩基というものがつながった長い紐状のものが、2重になり
さらに、らせん状に右巻きにねじれた構造をしています。
4種類の塩基はA(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミ
ン)と呼ばれ、AとT、CとGが互いにペアになって2重らせんを作ります。
タンパク質を作る時は、核の中にあるDNAの2重らせんが、いったん解かれて
そこに対になる塩基が割り当てられてmRNA(メッセンジャーRNA)が
作られます。
この際、CにはGというのは変わらないのですが、AにはTのかわりに
U(ウラシル)という塩基が割り当てられます。
そして、このmRNAは核膜に開いている小さな穴(核膜孔)から核の外に
出ていき、細胞内のリボソームというところを通過しながらtRNA
(トランスファーRNA)が運んできたアミノ酸をつなげてポリペプチド鎖を
作ります。
人体で使われるアミノ酸は全部で20種類ありますが、塩基が3個つながった
もの(コドン)に対応したアミノ酸が決まっていて、そのアミノ酸を
tRNAが吊り下げるような形で運びながら、次々とつなげていきます。
コドンとアミノ酸の対応は、例えばメチオニンというアミノ酸なら「AUG」
という塩基の組み合わせで1種類しかありませんが、塩基はA,G,C,Uと
4種類あり、これを3個つなげると4x4x4=64となり、アミノ酸は
全部で20種類しかないため、余ってしまいます。
そこで、一部のアミノ酸は複数のコードで同じものを指定するようになって
います。
例えば、フェニルアラニンというアミノ酸は「UUU」と「UUC」という
二種類のコードがあります。
また、ロイシンというアミノ酸は全部で六種類のコードを持っています。
このように1つのアミノ酸に複数のコードが割り当てられていることにより、
出来上がったタンパク質からさかのぼってDNAの配列を特定するという
ことは出来ません。(これをセントラルドグマといいます。)
ここまでで、タンパク質の元となるポリペプチド鎖はできましたが、さらに
このポリペプチド鎖がフォールディング(折り畳み)という、過程を経て
決まった立体構造をとることにより、はじめて機能を持ったタンパク質と
して完成するわけですが、その部分は次回書きたいと思います。