ジンクの筋膜パターン
前回はフルフォード先生の説明をしましたので、今回もまずゴードン・ジンク
D.Oの説明を、少ししたいと思います。
ジンクもアメリカのオステオパシー医で、治療家であり、研究者であり、
教師でもありました。
ジンクは人の筋膜について多くの研究をされた方で、学生たちは彼を、
リンパマニア、あるいは狂った筋膜主義者などのあだ名で呼んで
親しまれていたそうです。
筋膜とは何かですが、簡単に言うと人の体を包んでいる線維の膜です。
筋膜には大きく分けて2種類あり、1つは浅筋膜、もう1つは深筋膜です。
深筋膜は筋肉のところで説明したように、筋肉を包んでいる膜で内側から
筋内膜、筋周膜、筋上膜と3層になっています。
この深筋膜があることにより、それぞれの筋肉は摩擦することなく関節に
力を伝えることができます。
浅筋膜は皮膚と深筋膜のあいだにある、一般的に皮下組織と呼ばれるものです。
ここにはコラーゲン線維や脂肪などがあり、また多くの神経、血管、リンパ管
の通路にもなっています。
ジンクはこの筋膜の研究を行い、人の筋膜にはある一定のパターンがあること
に気が付きました。
これを「ジンクの筋膜パターン」と呼びます。
下の図を見てください。
代償性パターンというのは、交互に筋膜の動きやすい方向が変わっており、
非代償性パターンというのは、この交互変化がないものをいいます。
ジンクは代償性パターンの人はストレスや病気への耐性が強く、非代償性
パターンの人は病気にかかりやすく、治りにくいと言っています。
また、代償性のうちのほとんどの人が上の図の一番左にある、左-右-
左-右のパターンとなっているそうです。
これは利き腕には関係なく、地球の北半球、南半球にも関係なく世界の
どんな地域でも同じだそうです。
アーバックルは腹部のストレス帯のパターンは子宮内の位置と、胎児が
産道を通る時のストレスが膜組織に残した痕跡を反映したものである、
と指摘しています。(胎児は出生の際、一定の回転をして産道を通過します。)
またJ.M.リトルジョンD.Oは人体内で最も重い臓器である肝臓
(約1.5kg)が体の右側にあることと、人体のねじれのパターンを
関連させています。
私は、アーバックルの説についてはよくわかりませんが、リトルジョンの
説は十分に考えられると思っています。
ここで、ようやく前回のフルフォードのエクササイズに戻ります。
最も一般的なジンクの筋膜パターンから考えると、左手が上向き、
右手が下向きという形がリンパの流れを促し、エクササイズをするときは
身体を緩めるのに、より効果的だということです。
また、ほぼ100%の人が身体は右半身は前面の緊張が、左半身は後面の
緊張が強くなる傾向にあります。
この理由は、私の考えでは内臓が左右非対称だということが原因だと考えて
います。
フルフォード先生は腕の形に関してその理由を説明していませんが、前面と
後面では身体の緊張度が違うという事実からも、腕の形はこのようにすることが
良いのだと思います。
次回は、塩分の主成分であるナトリウム、そしてそれと対応させてカリウム
について書きたいと思います。