スギ花粉症の原因(真野説)

 

 

 これまで、うるしかぶれ、金属アレルギーと書いてきたのでスギ花粉症


についても調べてみました。

まずは、西洋医学的な分類から。

スギ花粉症もアレルギーの一種で、Ⅰ型アレルギー(即時型)に分類されて

います。

Ⅰ型アレルギーはIgE抗体が抗原と反応して起こるということになって

います。

それでは、またいつものように全く違った説を展開したいと思います。

まずスギ花粉の特徴ですが、


   ・大きさは約30μm
   
   ・成分としては糖質、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラル、酵素

    などが含まれている。


これらの成分のうち、何がアレルギーのもとになっているかというと

やはりここでも、タンパク質がその原因ということになっていました。

現在見つかっているスギ花粉に含まれる、アレルゲンとなるタンパク質は

以下の3種類でした。


  ・Cryj1(分子量約40.000)

  ・Cryj2(分子量約40.000)

  ・CPA39(分子量50.000~66.000)



分子量的には血漿タンパク質のアルブミンよりも、やや小さい程度

ですから、大きさは直径数nm程度でしょうか。

一般的な説明では、このタンパク質が目、鼻、喉などの粘膜組織で溶け、

そこでIgE抗体が産生、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されて

アレルギー症状が出ると書かれています。

しかし、私はこのタンパク質は消化器系を経由して血液、間質液などの

循環系に取り込まれると思っています。

それはなぜか?

鼻や気道などの粘膜は、線毛上皮という細胞で覆われており、この線毛上皮

細胞上にある線毛は1秒間に約10~20回の速度で動いて、粘液中に

取り込まれた物質を、1分間に約1cmという速度で移動させます。

ちなみに呼吸の際、空気中の直径5μm以上の物質は、ほとんどが鼻粘膜の

粘液中に取り込まれてしまいます。

スギ花粉は直径約30μmですから、肺には到達せずにほぼ全て鼻腔の

粘液に取り込まれます。

この線毛は鼻の奥へと物質を運ぶように、動いています。

そして、奥まで行った物質は痰などとして吐き出されるか、無意識のうちに

飲み込まれてしまいます。

街中で痰を吐く人は、まずいないでしょうから結局スギ花粉は胃の中へと

入っていきます。

その後、小腸までたどり着いたこの花粉に含まれるタンパク質は、以前に

私が書いたように、一部はアミノ酸レベルまで分解されますが、一部は

分解されずにタンパク質の構造を保ったまま、小腸内の特殊な毛細

リンパ管である乳ビ管の開口部から、直接吸収されると考えられます。

次にリンパ管から、静脈内に入り体循環へと移動したタンパク質は

どうなるか?

今度は、血管から細胞間質へと移動します。(私は千島学説の部分的な

支持派ですので。)

花粉は豊富なタンパク質を含んでおり(35%)、呼吸は常に行われる

わけですから、間質には常にタンパク質が送り込まれることになります。

すると、過剰なタンパク質は私がいつも言っているように結合組織内に

引っ掛かってしまい、動けなくなります。

その結果、この引っ掛かったタンパク質により物理的に体液循環が阻害

され間質の圧が上昇します。

また通常は血管内の方が間質よりもタンパク質の濃度が高く間質の

水分は血管内に引き込まれる力が働きます。(主に血漿タンパク質の

アルブミンの血管内外の濃度差のため)

しかし、花粉由来のタンパク質が体内に増えていくと間質へと流れて

いき、血管内外の膠質浸透圧の濃度勾配が減少し間質中の水分を

血管内に引き込めなくなることが考えられます。

すると行き場を失った間質液が、逃げ場を求めて一番外部に出やすい

粘膜部分において、細胞間のタイト結合を通して漏れ出すということに

なります。

そのために、鼻水、涙などが出てくるのではないでしょうか。

以前、喘息のオステオパシー的な治療に関して書いた時に、スティルの

著書には「治療後1~2日後に大量の痰が出る人がいる」と書いてあると

説明しました。

これは、治療により結合組織内に沈着したタンパク質が溶け出して

気管内部に浸みだしてきたためと考えられますが、これもある意味

似たような現象と言っても良いかもしれません。

また、スギ花粉症で下痢の症状を起こす人がいるようです。

この原因は、一般的には飲み込んだ鼻水によって、おなかの調子が

悪くなるためと書かれていますが、わたしはこれも間質の成分が

鼻水や涙と同じように腸の粘膜から逆流して、腸管内に漏れ出てくる

ために起こるのではないかと思っています。

また、かゆみは化学物質による刺激ではなく物理的な刺激が原因だと

何度も言ってきました。

かゆみに関しては、凝集してゲル化した花粉に含まれるタンパク質が

物理的に知覚受容器を刺激して起こるのではないかと思います。

結局、花粉症を防ぐ根本的な方法としては他のアレルギー症状と同じ

ように体液の循環を正常化して、花粉由来のタンパク質が間質に

溜まらないようにすることが最も重要だと思います。




2012/1/21   追記

「茶のしずく」石鹸のアレルギーに関して調べた結果、スギ花粉に

含まれるタンパク質は、界面活性効果により鼻腔やまぶたの粘膜表面

から直接、皮下に浸透する可能性があることがわかりました。

さらに皮下に浸透したタンパク質が、結合組織内に沈着している

タンパク質を溶かして、アレルギー症状を起こしているようです。