ストレイン・カウンターストレイン(SCS)の原理(一般説)

 

今回はオステオパシーの間接法の代表的なテクニックである、ストレイン・

カウンターストレイン(SCS)について書きたいと思います。

(理学療法士の業界ではポジショナル・リリース・セラピー(PRT)

と呼ばれているテクニックです。)

このテクニックはオレゴン州で開業医をしていたローレンス・ジョーンズ

DOにより発見されたものです。

SCS発見のきっかけは、何回治療しても効果の出ないある腰痛患者に、

なんとか寝るときだけでも楽になるようにと、いろいろな姿勢を

取らせていた時のことです。

患者が一番楽だと言った姿勢にしておき、ジョーンズDOはしばらく別の

患者を診ていました。

そして20分ほどしてから、ジョーンズDOの手助けにより元の姿勢に戻った

時、その患者の腰の痛みがすっかり無くなっていたのです。

そこからジョーンズDOによる、この現象の研究が始まりました。

ジョーンズDOの研究によれば、体の特定のポイントには押すと痛みを発する

圧痛点(テンダーポイント)というものがあり、術者が患者に特定の姿位を

取らせると、この圧痛がなくなる。

その状態で90秒間待ち、術者がゆっくりと戻すとその圧痛は消えて

いるというものです。

ではオステオパシー総覧からSCSの基本的手順を抜粋したいと思います。


  1、重要な圧痛点を見出す。

    a、圧痛がどこに起こるかを決定するために、患者を評価する。

    b、明確なポイントを同定するために触診する。

  2、患者を最適安楽体位にする。

    a、近似体位を見つける。

    b、小弧運動を通じて、微調整を行なう。

  3、その安楽体位を90秒間、維持する。

  4、患者を自然な体位に、ゆっくり戻す。

  5、圧痛点を再検査する。


次にこのSCSのテクニックの原理に関するジョーンズDOの説明です。

ここはジョーンズDOが書いたSCSの本の内容を書いていきたいと

思います。

解りにくい部分もあるかもしれませんが、勘弁してください。


  1、これは器質障害ではなく、いまなお進行中の有害な機能障害

    である。

  2、この治療を成功させるには、最大限に短くたるませた筋肉を

    中立位の長さに戻すとき、ゆっくりと戻す必要がある。

  3、ストレイン(伸張)を受けた筋肉には患者の訴える主観的な

    痛みや筋力低下があるが、その拮抗筋には客観的な証拠

   (圧痛、緊張、浮腫)がある。

  4、らくな姿勢をつくり痛みを永久に消失させるには、拮抗筋を

    最大限に短くしてたるませ、痛みのある筋肉をもういちど

    引き伸ばし、それからゆっくり中立位に戻せばよい。

    ゆっくり戻せば機能障害が再発することはない。


持続的なストレイン信号はどのようにして生じるのだろうか?

それは拮抗筋の一次終末がもっとも短くたるんでいたとき、突然

予期せずに引き伸ばされたからである。

そのスピードがあまりに速く、ストレイン信号を送る前に中立位の

長さになってしまうのである。

すると、その後まったくストレイン信号がないのにストレイン信号を

出すようになり、その関節があたかもストレインを受けているように

振る舞うのである。

ストレイン状態が続くと、不快な愁訴や痛みが取れない。

SCSの治療はストレイン状態を報告している固有受容器を最大限に

短くたるませ、ストレイン信号を出さないようにしてしまうのである。



以上がジョーンズDOによるSCSの原理の説明です。

これも、やはり他のテクニックと同様に神経系の機能に異常をきたして

いるために症状が出ており、治療も神経系の機能異常を修正するという

説明です。

では、次回はSCSに対する私なりの説明を行いたいと思います。