ストレイン・カウンターストレイン(SCS)の原理(真野説)その3

 

ストレイン・カウンターストレイン(SCS)の診断と治療には

幾つかの特徴がありますが、今回はそれらについて考えてみたいと

思います。



1、背中に痛みがある場合、その圧痛点の半分は体の前面にあり

  しかも、そのほとんどは自発的には痛まない。


  この場合、前面に筋付着部がある筋肉に過緊張があると考えられます。

  そして、その筋の緊張により背部の関節の位置がずれる、あるいは

  背部の組織が引っ張られるなどして痛みが生じる。

  この場合、圧痛が生じるのは前面の筋付着部となる。




2、上肢や下肢の圧痛点は、ストレインを受けた筋ではなく

  その拮抗筋に見つかる。


  これは症例1の時にジョーンズDOも言っているように、患者が

  急激に筋肉を収縮させたときに、たるんでいた側である拮抗筋が

  急激に伸ばされてストレインを受けたためだと考えてよいと
  
  思います。

  そのため、拮抗筋の筋付着部が微細な損傷を起こして、腱周囲に

  沈着物が溜まり、その部分を押すと圧痛が生じるということに

  なるのだと思います。




3、ストレインを受けた筋肉には患者の訴える主観的な痛みや筋力低下が

  あるが、その拮抗筋には客観的な証拠(圧痛、緊張、浮腫)がある。


  患者の訴える主観的な痛みは、拮抗筋の緊張による関節の位置の

  ずれによって、知覚受容器が刺激されたためではないかと思います。

  また、筋力低下は拮抗筋の緊張により、その反対側の筋肉は相反抑制が

  起きるということで説明できると思います。

  拮抗筋の圧痛、緊張、浮腫は上記の2のところでも書いたように拮抗筋

  が損傷を受けて沈着物がたまっているので、圧痛、緊張、浮腫が

  発生しているのでしょう。




4、患者が体の後ろ側に、はっきりと場所を特定できる痛みを訴える場合

  その部位に後ろ側の圧痛点があると考えられる。

  その場合は、後ろ側の圧痛点の治療から始める。

  患者が体の後ろ側に、場所を特定できない広い範囲のあいまいな

  痛みを訴える場合、前面の圧痛点を疑う。

  そして、その前面の圧痛点から治療を始めるとよい。


  これも1のところで書いたことと同じことでしょう。

  体の後面に場所を特定できる痛みがあるということは、後面の筋付着部

  にタンパク質の沈着があり、そこが痛んでいる。

  体の後面に場所を特定できない痛みがあるということは、前面に筋の

  付着部がある筋肉が緊張しているため後面の関節の位置異常、あるいは

  組織のひっぱりなどで、特定できない痛みを発している。

  前面で収縮している筋肉の付着部にある、タンパク質を除去して

  あげれば、後面の位置を特定できない痛みも消える。



以上で私なりのSCSの原理についての説明を終わります。

まあこういうこと書いても、日本のオステオパスは筋電図使って調べたり

できないので証明することができず、ホント困ります。