人の体はデジタル回路?

 

私なりの喘息の原因を書く前に、体内で信号が伝わる原理を説明した方が

良いと思いますので今回は神経伝達についてです。

神経伝達には大きく分けて



  ・電気的な方法


  ・化学的な方法



この二つがありますが、今回は電気的な方法について説明します(こちらも

もとをただせば、化学反応を利用してはいますが)。

ちなみに化学的な方法というのは、シナプスと呼ばれる部分で化学物質を

使って信号の伝達をする方法です。

たとえば抗鬱薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、

シナプス受容体において、神経伝達物質であるセロトニンの再取り込みを

阻害させることにより鬱症状を改善させようという、いかにも西洋医学的な

発想の薬剤です。

はなしが逸れてしまいました。

今回は電気的な神経伝達の方法です。

以前にも、人の体はコンピューターと同じようにデジタル処理されていると

書いたことがありましたが、そもそもデジタルとは何か。

いまさらそんなこと聞かなくてもわかるという方もいるとは思いますが

軽く説明します。

アナログ、デジタルという言葉がありますが、一番わかりやすいのは

レコードとCD(コンパクトディスク)でしょうか。

レコードは針によって、レコード盤に刻まれた溝の深さ、幅などを

音として伝えます。

CDは表面につけられた無数のドットにレーザー光線を当て、その配列を

あらかじめ決められたプログラムによって、音に変換します。

ですから全ての音はドットがあるかないか、「1」か「0」かの信号で

表現されます。

「コンピュータ ソフトなければ ただの箱」という言葉があります。

(最近聞かないかな?)

ですから、ただCDとCDプレーヤーだけがあっても、その中に信号を

変換するためのプログラムが入っていなければ、音楽を聴くことは出来ない

ということになります。

ちなみに「0」と「1」だけを使った2進数で数字を表すと


    0       0
    1       1
    2      10
    3      11
    4     100
    5     101
       ・
       ・
       ・


このように表していきます。

これを、実際に行う電気の回路を論理回路といいます。

現在は、MOSFET(金属酸化膜電界効果トランジスタ)を使った

CMOSというものが主流になっています。

これは初期のバイポーラトランジスタに比べて、動作速度は遅いが

消費電力が少ないという特徴がありました。

しかし、速度でのマイナス面もかなり解消されて現在ではほとんどが

CMOSになっていると言っていいと思います。

バイポーラトランジスタに比べると動作電圧が低いとは言っても

CMOSの論理回路を動作させるには数ボルトオーダーの電圧が必要と

なってきます。

しかし、人体内ではその約100分の1の数十ミリボルトオーダーの

電圧で全ての信号の処理が行われています。

ちなみに現在は原子核のまわりを回る電子のスピンを利用したスピン

素子やイオン液体を使った素子のの研究もおこなわれているよう

です。

イオン液体を使った素子では、人間の体内とほぼ同じ数十ミリボルト

での動作電圧が実現しています。

デジタルの話はこのくらいにしておいて、次回は体内でどのように

信号が伝えられるかを、少し具体的に説明したいと思います。