痛みとは(4)

 

 

今回は一般の病院では痛みに対してどのような治療が行われるかを

紹介したいと思います。



8、ペインクリニックなどでよく行われる疼痛治療


(1)薬物治療



  (a)NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)

     主に末梢組織で炎症と疼痛の抑制をもたらす。

     癌による痛みの一部は癌組織周囲の炎症によるものであるため

     癌にも用いられる。

     

  (b)オピオイド鎮痛薬

     体内で産生されるのモルヒネ様物質のレセプター(受容体)に作用す       る。

     癌の疼痛管理によく用いられている。

     ブプレノルフィン、ペンタゾシン、ペチジンなどがある。

     オピオイド鎮痛薬はモルヒネと同様の作用があるために、

     依存症を発生させてしまうという問題がある。



  (c)ステロイド

     強い炎症が疼痛の原因の場合に局注または全身投与されるが、

     易感染性、骨病変、消化管潰瘍などの副作用の頻度が高い。



  (d)抗うつ薬(三環系、SSRIなど)

     三環系--第1世代、第2世代と呼ばれる。シナプス受容体に

            おいて化学伝達物質の再吸収を阻害する。

            効果が高いかわりに、副作用も強い。

     SSRI--シナプス受容体において化学伝達物質である

           セロトニンの再吸収を選択的に阻害させる。

           三環系に比べて、副作用は少ないが効果も

           やや劣る。



  (e)抗痙攣薬

     大脳辺縁系、視床、視床下部などにある受容体に作用する。

     神経因性疼痛、特に三叉神経痛などに有効。商品名としては

     セルシン、ホリゾンなど。

     抗てんかん薬もこれに分類される。



  (f)漢方薬

     東洋医学的な診断にもとづいて処方される。とくに関節痛、神経痛

     腹痛、頭痛などでしばしば用いられる。       



 ・各薬剤の副作用


  (a)NSAIDS

     胃腸障害、腎障害など


  (b)オピオイド鎮痛剤

     吐き気、嘔吐、便秘、眠気、依存症など


  (c)ステロイド

     易感染性、骨病変、消化管潰瘍など


  (d)抗うつ薬

     眠気、口渇、便秘、注意力低下、集中力低下

     その他薬局の説明書きに書かれていない症状として

     ・ろれつが回らなくなる

     ・長期の服用では全身の筋トーヌスが低下


  (e)抗痙攣薬

     多いのは眠気、小児では逆に多動になることもある。

     腎臓、肝臓、血球への影響もある。


  (f)漢方薬

     ゼロではないが、一般に副作用は少ない。

     胃腸障害、高血圧、体がむくむなどの症状がでることがある。
 
    

(2)神経ブロック

   局所麻酔薬を注射で直接注入することにより神経伝達を

   阻止する。

   神経の麻痺による筋弛緩や、交感神経の低下による血流増加

   などでの症状改善を期待している。    

   星状神経節ブロック、硬膜外ブロックなど


 ・神経ブロックの副作用

   アレルギー症状、血圧低下など。

   熟練した医師がおこなえば、副作用は他の治療法に比べ

   少ないと言われている。

   ペインクリニックでは原因が特定できていない状態で打つので

   効果の無い人は何度打っても効果がない。

   中には毎週打たれているような人もいるので、長期的に見て

   副作用が無いかどうかは疑問。


 ・神経ブロックの費用

   部位にもよるが3割負担で1回につき3000円程度。



以上がペインクリニック他の一般の病院でのおもな治療方法です。


次回は、私なりの考えを少し書きたいと思います。