「茶のしずく」石鹸によるアレルギーついて(10)(最終回)

 

今回は悪心、腹痛、下痢、血圧低下についてです。


・悪心(おしん、はき気)

 悪心に関しては、前回書いた嘔吐の前駆症状であるということは知られて

 いますが、これも嘔吐のところで説明したことと同じ理由だと考えられます。

 繰り返しになりまが体液中のアミノ酸、ペプチド、タンパク質などの濃度が

 必要以上に上昇すると、延髄にある化学受容器が刺激され、これらの体内

 での濃度をそれ以上上昇させないために消化管内の内容物を体外に排出する

 ための嘔吐反射の前段階だと考えられます。


・腹痛

 腹痛に関しては、呼吸困難のときに書いたことと同じようなことが

 起きているのではないかと考えています。

 小麦製品由来、あるいは「グルパール19S」により内臓平滑筋や腸間膜

 などに沈着していたタンパク質が溶けて、ゲル化、膨張して内臓の

 知覚受容器を刺激するためではないでしょうか。


・下痢

 下痢に関しては二つの原因が考えられると思います。

 一つは嘔吐反射と同じように、体液中のタンパク質などの濃度を上昇

 させないためです。

 胃を通過してしまった食物は、嘔吐反射では体外に排出できないために

 小腸での栄養吸収や、大腸での水分の吸収を行なわずに未消化のままで

 体外に排出するという推測です。

 もう一つは、「スギ花粉症の原因」の時にも書いたように、細胞間質の

 浸透圧が上昇することにより、リンパ系で吸収しきれない間質液が

 腸管の細胞間のタイト結合、あるいは腸管の細胞膜自体を通過して

 管腔内に逆流してきて、下痢の症状を起こすというものです。


・血圧低下

 まず、血圧についてですがこれは血管内の血液と間質液の相対的な

 量によって決まってきますが、主に4つの因子からなります。


 1、毛細血管圧

   心臓の働きにより液体を毛細血管から、間質に押し出す方向に働く。

 2、間質液圧

   間質の液圧が高ければ、液体を間質から毛細血管へ移動させるように

   間質の液圧が低ければ、液体を毛細血管から間質へ移動させるように

   働く。

 3、血漿膠質浸透圧

   膠質とは、簡単にいうとタンパク質のことだと考えてください。

   これは、血管内のタンパク質(主に血漿タンパク質のアルブミン)

   の濃度により、間質液を毛細血管内に引き入れる働きをする。

 4、間質膠質浸透圧

   3の血漿膠質浸透圧とは逆に、毛細血管から間質に液体を

   引き出す働きがある。


これらの因子のうち、今回のアレルギーの症状に関しては主に

3と4が関係していると思われます。

通常は血管内の血漿のタンパク質濃度は約7.3mg/dL、一方

間質のタンパク質濃度は約2~3mg/dLとなっており、血管内の

タンパク質濃度が間質よりも3倍ほど高くなっています。

血管内のタンパク質濃度が血管外よりも3倍ほど高いという理由により、

通常は間質にある液体を血管内に引き入れる力の方が強く働きます。

これにより、血圧はある一定の範囲内に維持されています。

ところが、これまで書いてきたように私の考えでは「グルパール19S」や

口から摂取された小麦製品由来のタンパク質は、結合組織内に沈着していた

タンパク質を大量に、間質に溶かし出す作用があります。

間質膠質浸透圧が上昇するということは、上記の4で書いたように

血管内の液体を、間質に引き出してしまいます。

そうすると、血管内の液量の減少により血圧が低下してしまうということに

なります。

これが急激に起こる現象が、アナフィラキシーショックだと考えて

間違いないと、私は考えています。




最後に、医療関係者向けの症状には書かれていませんが、これらの

症状と一緒に寒気を感じた人はいなかったのでしょうか?

私のところで施術を受けた方の中に、時々施術後にものすごく寒気を

感じる方がいます。

これは、上記の血圧低下の部分に書いたことで説明できると思います。

間質中のタンパク質濃度が上昇し、血管内の血漿成分が間質に引き出されて

しまうことにより、血圧は低下します。

血圧の低下による体内循環の低下は細胞への酸素や栄養供給を妨げ、

体内での熱の発生が少なくなります。

その結果、体温が低下して寒気を感じるのだと思います。

ですから、今回の「茶のしずく」アレルギーでも寒気を感じた人がいても

おかしくないのですが・・・。




これまで、長々と書いてきましたがとりあえず今回で「茶のしずく」石鹸の

アレルギーに関しては終わりたいと思います。



結論を言うと喘息のシリーズの時にも書きましたが、「茶のしずく」石鹸

のアレルギーに限らず、喘息、アトピー、花粉症、食物アレルギーなど

あらゆるアレルギー症状の原因は、血液、間質液、リンパなどの循環不良に

よるもので、脊柱(特に頸椎から上部胸椎)の配列を整えることにより

体内の循環をコントロールしている上、中、下頚神経節や上部胸椎の

交感神経幹幹神経節への不要な刺激を取り除く、静脈角の圧迫を解放

することによりリンパの流れを良くする、など体の構造を正しい状態に

戻すのがもっとも根本的な治癒への道になると思います。