「茶のしずく」石鹸によるアレルギーついて(3)

 

今回は人の細胞膜の構造についてと、細胞膜と界面活性剤の関係に


ついて書きたいと思います。


まずは細胞膜の図です。
 


$白山オステオパシー院長のブログ

脂質二重層


細胞膜は親水性(水となじむ)のリン酸部分の頭部に疎水性(水をはじく)


である脂肪酸の尾部2本がついたリン脂質分子からできています。


細胞の内外は主に水で満たされているのでリン脂質分子は頭部を外側に、


水に反発する尾部を内側に2重の層を作って並びます。


2重層の両外側は親水性なので膜全体は細胞内外の環境になじみ、内側には


疎水性の脂肪酸が充満しているので細胞の内外をしっかり遮断することが


できます。


この脂質2重層は電気的に中性で極めて小さな分子、例えば酸素分子や


二酸化炭素分子は通しますが、極性を持つ水分子は通りにくく大きな分子や


イオンは通ることができません。


それらは脂質二重層に埋め込まれたタンパク質などを通って移動する


ことになります。






今回の「茶のしずく」石鹸に使用された小麦タンパク質の加水分解物である


グルパール19Sは界面活性剤としての効果がある、と前回のブログでは


書きました。


では界面活性剤と細胞膜を構成する脂質二重層との関係を書きます。






界面活性剤を用いた細胞の溶解


脂質二重層の説明と重複する部分もありますがご了承ください。


細胞や細胞小器官は生体膜(細胞膜)によって内側と外側に区分されて


います。


生体膜は主にリン脂質とタンパク質から構成されており、リン脂質が


疎水性テールを互いに向き合わせた二重構造(脂質二重層)を形成し、


その層の中にタンパク質が組み込まれています。


界面活性剤はこのリン脂質に類似した性質を有しており、タンパク質の


疎水領域に結合します。


界面活性剤は脂質-脂質間やタンパク質-脂質間の相互作用を破壊するため


細胞を包む脂質二重層の破壊に利用することができます。


界面活性剤は臨界ミセル濃度(CMC: critical micelle concentration)と


呼ばれる濃度以上において自己会合しますが、通常このCMC濃度以上の


界面活性剤を添加することによって細胞膜を界面活性剤で飽和し、細胞膜の


破壊を誘導します。




この内容は以下のサイトから引用しました。詳しくはこちらをどうぞ。





http://www.thermoscientific.jp/bid/support/mag/200908-p/technology1.html



つまり「茶のしずく」石鹸に使用されていた「グルパール19S」は


分子量が5万以上というかなり大きな分子量のタンパク質にも


関わらず、界面活性効果があるために細胞膜表面の結合を破壊して


皮膚表面や粘膜部分などから皮下に浸透してしまうのです。


ちなみにこれは通常の化粧品でもおこなわれていることです。


肌の状態の改善をうたっている化粧品は、現在皮膚の張りを保つために


有効だと思われている、コラーゲンなどの成分を皮下に浸透させるために


同じように界面活性剤で、皮膚表面の細胞膜を破壊してこれらの成分を


皮下に浸透させています。(私の考えでは皮膚から浸透させる


コラーゲンなどは益よりも害のほうが多いと思っていますが


それもそのうち書きます。)


ではなぜ今まで化粧品などではそれほどアレルギーの問題が


出なかったのかというと、前回書いたように一般に化粧品などに


使われている加水分解小麦は、分子量が数百程度なので大きな問題には


ならなかったようです。


以下はネットで調べた情報なので未確認情報ですが「茶のしずく」では、


泡のもちもちとした独特の感触を出すために、分子量約6万という


分子量の大きなグルパール19Sを使用していたそうです。


次回は皮下に浸透したあとのグルパール19Sが、どのような作用を


及ぼすのか、私なりの考えを書きたいと思います。