「茶のしずく」石鹸によるアレルギーついて(9)

 

今回から「茶のしずく」石鹸による小麦製品摂取による呼吸困難、嘔吐、

腹痛、下痢、血圧低下、悪心などの症状について個々に考えていきます。



・呼吸困難

 これは、小麦摂取によるタンパク質と「グルパール19S」により

 気管の輪状軟骨後面にある膜性壁(副交感神経に支配されている平滑筋)

 や気管部分の筋膜内に沈着していたタンパク質が溶けてゲル化、膨張

 したことにより、気管平滑筋の筋紡錘が伸張反射を起こして膜性壁が

 収縮し、呼吸困難の症状を引き起こしたのだと考えられます。

 気管部分の構造に関しては、喘息のシリーズの時に詳しく説明しています

 ので、そちらをお読みください。



・嘔吐

 まず嘔吐が起こる原因ですが、大きく分けて物理的な刺激と化学的な

 刺激、それ以外の3つがあります。


 1、物理的な刺激

   これは上部消化管に過度の刺激、拡張などが生じたときに、その

   内容物を排除するために起こるものです。

   十二指腸の過度の拡張や刺激も嘔吐の原因となることがあります。

   例えば、のどに何かを詰まらせてしまったときにそれを排除する

   ために、起こるような場合がこれにあたります。

   故意に吐かせるために、指をのどに入れるのもこの反射を利用

   しています。


 2、化学的な刺激

   もう一つは、延髄最後野付近(第4脳室底部)にある、化学受容体

   への刺激によるものです。

   これは、体液中のある種の物質に反応するため、食物や薬物でも

   嘔吐が起きることがあります。


 3、上記以外

   (1)急激な運動方向の変化によるもの

      例えば遊園地のジェットコースターに乗った後に起きる

      ようなものです。

      これは、内耳の神経と延髄の化学受容体の交通により説明

      されていますが実際のところはよく解っていないのでは

      ないでしょうか。

   (2)心理的な要因

      不安な状況、過去の不快な経験を思い出すなどで起きるもの。

      これらに関しても、その機序はよくわかっていないようです。



では、今回の「茶のしずく」石鹸のアレルギーの場合ですが私の考えでは

体液中のアミノ酸、ペプチド、タンパク質などの濃度が必要以上に上昇

すると、延髄にある化学受容器が刺激され、これらの体内での濃度を

それ以上上昇させないために消化管内の内容物を体外に排出する目的で

嘔吐反射が起こるのではないかと考えています。

以前、吐き気などを起こすチャイニーズレストラン・シンドロームについて

原因は「味の素」(グルタミン酸ナトリウム)という説が最も有力だと

書きましたが、これと同じ現象なのではないでしょうか。

今回はここまでにして、続きは次回にします。