遺伝子組み換え作物とは?

 

お盆に北海道に帰った時に、何年も前に調べた遺伝子組み換え作物に

関する資料があったので、最近のデータも加えつつ遺伝子組み換え作物

あるいは遺伝子組み換え食品の問題点や危険性などについて、何回かに

分けて書きたいと思います。

日本では、まだ栽培されていない遺伝子組み換え作物ですが、たとえば

日本が全消費量の約95%を輸入に頼っている大豆で言うと、アメリカ

では全栽培面積の約93%(2010年度)が、遺伝子組み換え大豆と

なっています。

そもそも、なぜ遺伝子組み換え作物というものが生まれたのでしょうか?

それは、一つは今も昔も変わらず農家を悩ませる雑草を取り除く苦労から

農家を解放するためでした。

そして、もう一つはそのことにより種子の供給を支配して種子売買を独占

しようという、企業側の思惑がありました。

遺伝子組み換え作物の始まりは、1996年にモンサント社が自社の除草剤

であるラウンドアップ(成分名グリホサート)に対して耐性のある、

ラウンドアップレディーという遺伝子組み換え大豆を発表したのが最初です。

グリホサートは植物の生長点に作用し、本来ならグリホサートが付着した

場合全ての植物は枯れてしまいます。

除草剤というのは、いろいろなタイプのものがあり、それぞれの特性に

合わせて使える時期が限られています。

また農薬取締法という法律もあり、作物ごとに使用できる期間も、

細かく決められています。

そのため、農家は除草剤を散布するのにも天候を読むこと、作物の芽が

いつごろ出てくるかなど、ある程度の経験と技術が必要とされていました。

しかし、モンサント社は1980年代にグリホサートに耐性を持つ細菌を

発見し、その遺伝子を単離、さらにその遺伝子を大豆に組み込むことに

成功しました。

その結果、大豆の芽が出てからでもグリホサートを散布することが可能に

なり、雑草だらけの大豆畑にラウンドアップを散布すると、見事に

大豆だけを残して雑草はすべて枯れてしまうという現象が起きます。

それまで、畑の除草に苦労してきた農家が、この現象を目の当たりにして

どれほど衝撃を受け、そしてこの遺伝子組み換え大豆に飛びついたかは

容易に想像がつきます。

農家にとっては、まさに福音に思えたのではないでしょうか。

私も10数年間、農薬を一切使用しない有機農業をした経験があるので、

作業が遅れて、除草の時期を逃すと本当に大変な目に遭いました。

ですから、遺伝子組み換え大豆を導入した農家の心情は良くわかります。

しかし、その後この遺伝子組み換え作物に関しては、様々な問題点が

明らかになっていきました。

まず一つは、モンサント社が遺伝子組み換え作物に関する特許を取得し、

他の会社が、種子供給が出来ないために完全な独占状態となり、

自由に種子の供給をコントロールできるように、なってしまった点です。

昔の農家は種は自家採取していたものですが、今はほとんどの農家は

種苗会社から種を購入します。

しかし、通常の作物なら何社もある種苗会社から自分の好みのものを

選ぶことができますが、遺伝子組み換え作物の場合は種を供給する

会社が1社しかなかったため、選びようがありませんでした。

(現在はモンサント社以外にも、トウモロコシ、なたねなどで数社が

遺伝子組み換え作物を開発、種子販売をしています。)

そのため、モンサント社は除草剤とともに、種子の供給でも莫大な

利益を得ることになりました。

他にも遺伝子組み換え作物による、アレルギーの問題、スーパー雑草

と呼ばれるグリホサートに耐性を持つ雑草の出現などが、ありますが

それらは、次回以降に書きたいと思います。