頭蓋調整で、何故具合が悪くなることがあるのか?

 

 

 オステオパシーには、頭蓋骨を調整するテクニックがあります。


一般的に使われているのはサザーランド系の方法、ジョン・E・アプレジャー

の頭蓋仙骨療法(CST)、ジョーンズ先生のストレイン・カウンター

ストレイン(SCS)、ゲーヒン先生のテクニックなどでしょうか。

私もCST、SCS、ゲーヒン先生のテクニックなど幾つかを学びましたが

残念ながらCSTなどで言っている5グラムの圧では変化を起こすのに

時間がかかりますし、患者の具合が悪くなりやすいと思っているので

今現在使っている方法は、アンドルー・ワイル博士の「治る力・癒す心」に

出てくるフルフォード先生の方法に一番近いと思います。

最初に書いたように頭蓋の調整をおこなっていると、ときどき具合が悪く

なる人がいます。

私も、自分の頭で頭蓋の調整をやりすぎると、吐き気を催すことがあります。

この原因を私なりに考えてみました。

私に言わせれば、頭蓋の調整も、頭蓋骨の縫合や帽状腱膜、硬膜、

頭蓋の筋付着部などに沈着しているタンパク質を除去しているという

ことになります。

以前に、私が自分でこめかみの部分(蝶形骨大翼付近)を調整していると

目がしばしばしてくるということ、また口内炎ができているときに

その部分にうま味が感じられるということを書きました。

頭蓋の調整をすると、間質にタンパク質、アミノ酸、ナトリウムなどが

溶け出してきているはずです。

間脳の視床下部には血中の糖、アミノ酸、脂肪酸などの化学受容器が

ありますし、延髄の孤束を含む外側網様体部分には嘔吐中枢が存在し

延髄の化学受容器が刺激されると、嘔吐反射が起こります。

私は鎖骨、上部胸椎、頸部などの調整を行なわずに、いきなり頭蓋の

調整をおこなうと、間質に溶け出したタンパク質、アミノ酸などが

リンパ系に吸収しきれずに、これらの濃度が急上昇して、化学受容器を

刺激し、嘔吐反射を起こしているのではないかと考えています。

最近はあまり聞かなくなりましたが、以前中華料理を食べた人が、頭痛

吐き気などの症状を起こすチャイニーズ・レストラン・シンドロームという

ものがありました。

はっきりと証明されたわけではないようですが、この原因も中華料理に

大量に使われた味の素(グルタミン酸ナトリウム-アミノ酸の一種)

だろうというのが一番有力でした。

頭蓋の調整をして具合が悪くなった時も、チャイニーズ・レストラン・

シンドロームと同じような現象が起きているのではないかと、私は

考えています。

ですから、対処として一番良いのは水を飲ませてそれらの体液中の

濃度を下げることだと思います。

これは、体全体に対しても同じことですが、やはり頭蓋の調整をする

ときも、まずは頭部のリンパ還流の経路をしっかりと確保してから

行なわなければいけないということ、それとやり過ぎは禁物だということ

だと思います。

また、CSTなどの弱い圧では溶け出したタンパク質が間質に溜まる

ことになりますが、私が今使っている方法はそれなりの圧をかけます

ので、溶け出したものがすぐに毛細リンパ管に吸収されるので

具合が悪くなることが無いのだと、自分では思っています。

CSTは5gほどの力で行いますし、バイオダイナミニクスなどでは、

それさえも必要無いといいます。

ほとんど頭蓋に触るか触らないかで行うような、軽い治療はフルフォード

先生のように、自分のエネルギー場も相手のエネルギー場もわかって

いて、それをコントロールすることが出来て初めて可能になると私は

思っています。(エネルギー場という概念は、人によりかなり個人差が

あると思いますが、私の場合どちらかというと体から発生している電場や

磁場など現代物理学で計測できるもので怪しげなものではありません。)

ですから、それがわからずにそのようなテクニックを使っている人は

結局は、何の変化も起こせず施術家の自己満足で終わって何もして

いないのと同じことだと私は思っています。

受けた人が、具合が悪くなるということはきちんと体に変化を起こして

いるわけですから、触るか触らないかの力で頭蓋治療を行い、自己満足

しているような人よりはある意味、まだましと言えるかもしれません。