うるしかぶれの原因(真野説)
前回は私がうるしにかぶれるということ、そしてうるしにかぶれるという
のは西洋医学的にはⅣ型アレルギーの接触性皮膚炎に分類され、抗原に
感作されたT細胞が抗原と反応して起こる、と言われていることなどを
書きました。
では、またいつものとおり一般的に言われている説を全く無視して
新たな説を展開したいと思います。
まず、うるしに含まれているどのような成分がかぶれるという症状を
起こすかですが、これは「ウルシオール」と呼ばれ、日本語のうるしから
その名前がつけられたそうです。
この成分について調べると、カテコールと呼ばれるフェノール類の一種だと
いうことがわかりました。(こういうこと書き始めると、また私の知り合いは
ついていけないと言い出すと思いますが、どうかご勘弁ください。)
それでは、これから使う用語の説明を出来る限りわかりやすくしていきたい
と思います。
・ベンゼン環
炭素6個と水素6個が六角形に配置され輪のように結合している状態。
(このベンゼン環はドイツの化学者アウグスト・ケクレが夢の中で
蛇が自分のしっぽを噛んで回っているのを見て、思いついたという話が
ありますが、真偽は定かではありません。)
・フェノール類
ベンゼン環上にヒドロキシ基(OH)を持つ有機化合物。最も単純な
フェノールはC₆H₅OH。複数のヒドロキシ基を持つものを、
ポリフェノールと呼ぶ。
フェノール類のヒドロキシ基はアルコールよりも水素イオンH⁺を
解離させO⁻イオンになりやすい性質を持つ。
・カテコール
フェノール類の一種でベンゼン環上に2個のヒドロキシ基(OH)
を有する有機化合物。ポリフェノールに含まれる構造。
・アルコール
炭化水素の水素原子をヒドロキシ基(OH)で置き換えた
物質の総称。
アルコール
次にいよいよ、うるしかぶれの原因物質である「ウルシオール」
の説明をしたいと思います。
・ウルシオール
カテコールの一種でアルコールに可溶だが、水にはほぼ不溶。
ベンゼン環上に15-17個の炭素からなる側鎖(R)を持つ。
側鎖には飽和型と不飽和型があり、飽和型だとかぶれる割合は半分以下
不飽和型だと90%以上の人がかぶれる。
以前に「体内浄化法(不飽和脂肪酸)」のときに、説明しましたが
飽和型は炭素鎖に2重結合がない。不飽和型は炭素鎖に2重結合がある。
そして、不飽和型の方がより動きに自由度があり、他の物質と
反応しやすいと書いたと思います。
また「体内浄化法(アルコール)」の回の時には、アルコールは
プロトン(H⁺)供与性があり、タンパク質のジスルフィド結合に
水素イオン(H⁺)を与えて、結合を解くことによりタンパク質を
分解しやすいということを書きました。
それらのことを考えるとこの「ウルシオール」という物質は、
やはり結合組織内に溜まったタンパク質を分解しているのでは
ないかと、考えられると思います。
飽和型よりも不飽和型の方が、よりかぶれを起こしやすい。
またウルシオールを含むフェノール類はアルコール以上の
プロトン供与性があるようなので、さらに強力にタンパク質の
ジスルフィド結合を絶ち切る力があると思われます。
それならば、マンゴーを手に持って食べて、その汁に含まれる
ウルシオールが手、唇などの皮膚表面から皮下に浸透し、皮下の
結合組織内に沈着したタンパク質を急激に溶かしたことにより、
「蚊は治療家?」の回に書いたようにゲル化して膨張したタンパク質に
よって、知覚受容器を刺激してかゆみを発生させていると考えれば、
すべて矛盾なく説明することができます。
(ちなみに私は、切られた状態のマンゴーをフォークなどで口に
入れて食べると、かぶれは起きないので上記の内容でその理由も説明が
つくと思います。パプアニューギニアでは私は素手でマンゴーを手に
持ってかぶりついていました。)
そして、何日か経ってゲル化したタンパク質が間質液の流れによって
毛細リンパ管に吸収されることにより、湿疹もかゆみも、収まって
しまうということになります。