スティルのテクニック(2)

 

スティルのテクニックに関する、わずかな記録を調べ復活させた


のがリチャード・ヴァン・バスカークDOの「スティルテクニック」


だと言われています。


しかし、以前にも書いたようにバスカークDOのスティルテクニックは、


実際にスティルが治療の際に行っていたことのごく一部しか再現できて


いないと私は思っています。


まずはバスカークDOのスティルテクニックの治療手順を書きます。




 1、関節・組織の位置、またはそれがどの方向へもっとも容易に動くかを

   判定する。


 2、制限のある関節・組織とその周辺組織を動かして、弛緩位置に置く。


 3、制限のある組織と力学的に連結している身体の別の部分から2kg

   以下の力(牽引・圧迫)のベクトルを加える。


 4、そのベクトルを使って、組織をその可動域に沿って、元あった制限に

   向けて動かして通過させる。


 5、力のベクトルと組織の運動が合わさって、組織をそれまでの制限領域を

   通過させるとき、触知可能なリリースを生じ時にはクラック音を伴う。


 6、力のベクトルを解放し、組織を中立位に戻す。


 7、制限や他にSD(体性機能障害)がないか再検査する。




以上がバスカークDOのスティルテクニックの手順です。


しかし、スティルがその著書に書いている治療方法や、唯一残っている


彼の8ミリ映像の内容を見る限り、バスカークDOのスティルテクニック


の治療手順では、そのほとんどは原理を説明することはできません。


また、私が持っている「スティルテクニック第2版」では、この8ミリ映像


についての記述がありますがバスカークDO自身も、この映像がどこの


治療をしているのかわからず、


「肩あるいは肋骨と思われる部位にアーティキュレーションによる


 治療を施している映像」


と書いています。


私の考えでは、これは鎖骨をリリースしている映像だと思っています。


その理由は、次回書きたいと思います。


また、バスカークDOの著書「スティルテクニック」には、その治療原理


については記述がありません。


もしかすると「オステオパシー総覧」最新版にはバスカークDOの


スティルテクニックの治療原理が載っているかもしれません。


しかし、私の推測ではおそらくスラストや筋エネルギーテクニックの


一般的に言われている説と同じように、神経の誤作動を反射弓を使って


リセットするというような内容が書かれているはずです。


次回は私なりの、スティルの8ミリ映像に対する解釈を書きたいと


思います。