パーカッション・ハンマーについて(2)

 

今回は、私なりに考えているパーカッション・ハンマー使用の際の


コツなどを書いていこうと思います。(あくまでも私なりの見解ですので


現在パーカッションハンマーを使用している先輩オステオパスの皆さん、


自分の考えと違っていても、どうか怒らないでください。)


私なりに言うと、パーカッション・ハンマーもいつものように結合組織に


沈着した不要な物質を取り除く道具ということになってしまいます。


うまく使えば、結合組織ならどんな部分にも使用することができます。


  ・腱

  ・靭帯

  ・筋膜

  ・関節包

  ・骨膜


などです。


またパーカッションハンマーは頭蓋の治療にも使えますが、これは


慣れないうちは、やめておいた方が無難でしょう。(私も以前


まだうまく使いこなせていない時に、自分の頭蓋にパーカッション


ハンマーを当てていて、具合が悪くなったことがあります。)


私が普段一番多く使用するのは、腱に対するものが多いです。


フルフォード先生は自分のエネルギー節約のために、たいていの場所は


パーカッションハンマーを使用していましたが、自分が楽することを


考えないのなら骨膜などは、手を使った方が早く治療できると私は


思っています。


私がはじめてパーカッション・ハンマーを試してみたのはジャパン・


カレッジ・オブ・オステオパシーの3年次でインターンをしている


時でした。


学校のクリニックに誰にも使ってもらえない、かわいそうな


パーカッション・ハンマーが置いてあり、クリニックで研修している


あいだ、ほぼ毎日のようにそれを自分の体に当てて試してみました。


しかし、振動パッドを体のあちこちに当てて待っていても特に変化が


あったと感じることはできませんでした。


そのため、私はこの器具は本当にエネルギーレベルで触診ができないと


使いこなせないのかと考えてしまいました。


しかし、何度も何度も繰り返し試しているうちに、なんとなく使い方が


解ってきました。


パーカッションハンマーを当てる位置を少しづつ変えていくと、問題を


起こしている部分は、他の組織と比べると硬くなっているため、


パッドに伝わってくる振動が他の部分より大きくなるのです。


正常な部分だと、パッドと組織が同じように振動するのですが、


問題のある部分は、組織がパッドを押し返してくるような状態になります。


これが解ってくると、パーカッションハンマーを検査にも使えるように


なります。


体の表面でパーカッションハンマーを滑らせていくと、問題のある


箇所に来ると、パッドの振動が変化するのです。


パッドを当てる圧や、角度などでこの振動の状態は変化し振動が一番


大きくなったところが、一番リリースを早く起こせる場所ということに


なります。


イメージ的には「パッドの振動と、逆位相の振動を組織に起こす」


という感覚です。


これは、あくまでも私なりの解釈ですのでコモー先生が書いた


「サトルオステオパシー」にも載ってはいませんし、ジェリー・


ハーマンDOが作った「パーカッションハンマーテクニック」という


資料にも載ってはいません。


下図をご覧ください。 

 



$白山オステオパシー院長のブログ


波Aと波B、二つの波形があります。


この二つの波は一つのサイクルを360°(2πrad)とすると


ちょうど180°(πrad)ずれた位相になっています。


180°位相がずれた状態になると、二つの波形の山と谷の部分が


ぶつかる形になります。


つまり、パーカッション・ハンマーの振動パッドを組織に当てる強さ、


振動数、角度などをうまく調整して組織がパッドを跳ね返す力が


最大になるようにすると、ちょうどパッドが押すのと組織が上がって


くるのが重なり衝撃が最大になります。


この衝撃により、組織の沈着物を物理的に破砕して取り除くことが


できるのです。


組織に最大の振動を起こせるようになるのは、はっきり言って


慣れです。


何度も何度も何度も繰り返しおこなっているうちに、器具を持った


手に伝わる感触から、組織がどのように振動しているかやリリースが


起き始める感覚がわかってきます。


リリースの感覚というのは、ロバート・フルフォード先生風に言えば


「そら、母さんが動いたぞ」という状態です。