四十肩、五十肩の原因とオステオパシーによる治療(2)
前回は肩周囲の筋肉に関する説明をしましたので、今回は肩周囲の
結合組織と動脈の走行について、見ていきたいと思います。
まずは、結合組織(靭帯、関節包など)の図です。
上方からの図
肩を動かすために特に重要な関節としては、肩甲上腕関節(肩甲骨と上腕骨)
肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨)、胸鎖関節(胸骨と鎖骨)の三つがありそれぞれ
が関節包という結合組織で包まれています。
さらに肩甲骨の烏口突起というところには烏口上腕靭帯、烏口肩峰靭帯
烏口鎖骨靭帯(円錐靭帯と菱形靭帯)などが付着しています。
脊柱のずれによる循環不良、肩周囲の筋肉の問題による圧迫などが起きると、
体液循環の不足により、これらの靭帯や関節包などにもタンパク質が沈着して
硬くなっていきます。
また、図には出ていませんが骨の表面も骨膜という繊維の膜で覆われており
この骨膜にもタンパク質が沈着し、筋肉に引っ張られて歪んだ状態で
固まってしまいます。
次に肩周囲の動脈の走行です。
私のネッターさん(おそらく医療関係で最も多く使われている解剖学図譜)
は書き込みが多くて、あまりきれいではありませんがご了承ください。
肩周辺はおもに腋窩動脈(図で一番太く見える動脈。この動脈は部位に
より鎖骨下動脈→腋窩動脈→上腕動脈と名称が変わります。)
の枝が動脈血を供給しています。
上から最上胸動脈、胸肩峰動脈、外側胸動脈、肩甲下動脈、前上腕回旋動脈
後上腕回旋動脈となります。
(ちなみに覚え方としては、それぞれの動脈の頭文字をとってサキガケゼンゴ
と覚えていきます。)
図で肩と肘の動脈を比べてみるとよくわかりますが、肘は動脈の枝同志が
つながりあって、かなりしっかりとしたループが出来上がっています。
(これを吻合といいます。)
しかし、肩はこの吻合がほとんどなく血管の太さも肘と比べると貧弱です。
そのため、肩周辺は血液供給が滞り循環不良による問題が出やすくなる
傾向にあります。
次回は、四十肩、五十肩の原因とその解消法について少し具体的に
書きたいと思います。