オステオパシー的な、おねしょの原因と治療法(2)
以前にスティルの著書「Osteopathy Research and Practice」から、
おねしょに関する部分を紹介しましたが、私も数人おねしょをする子
の施術をしてみて、やはりオステオパシーは効果があるようなので、
もう一度私なりの解釈も入れつつ紹介します。
まずは、スティルの著書の抜粋。
「子供がおねしょをしてしまう場合には、明らかに腹腔神経叢から
膀胱への神経に圧迫が生じている。
検査をすると坐骨間は、非常に狭くなっている。
坐骨間を拡げてあげることで、尿道と膀胱の神経への刺激を
取り除くことができる。
やさしい力で寛骨と仙骨を、さらに全ての胸椎と腰椎の位置も
調整しなさい。
また、やさしく恥骨の前上方で膀胱あるいは子宮を少し持ち上げなさい。
これで尿は膀胱へと流れることができる。
これらにより、おねしょの原因となる腹部での膀胱への刺激を取り除く
ことができる。
私は、この方法をあらゆる年齢の患者に用いて良い結果を得てきた。」
次に膀胱の神経系
貯尿 → 交感神経(腰部神経節L1,L2~下腸間膜動脈神経節)
排尿 → 副交感神経(骨盤内臓神経(仙骨神経S2~S4))
膀胱の神経系の流れ
交感神経 腰内臓神経 → 下腸間膜動脈神経節 → 上下腹神経叢 →
下下腹神経叢 → 膀胱神経叢
副交感神経 骨盤内臓神経 → 下下腹神経叢
神経系からみた「排尿」
膀胱がいっぱいになると、膀胱壁の内臓求心性神経は「充満」を
感知し第1,2腰髄にインパルスを伝達する。
同時に第2~4仙髄への内臓求心性神経は、膀胱壁を緊張させる
副交感神経反射を起こし、最終的には内尿道括約筋の同時弛緩を惹起する。
それから第2~4仙髄からのインパルス(陰部神経経由)による
外尿道括約筋の随意的弛緩と同括約筋の交感神経弛緩によって、
排尿が行なわれる。
排尿中、外尿道括約筋は主として随意的な制御下にあるが、交感神経弛緩
も同時に起こらなければならない。
睡眠中の排尿は、不随意なため外尿道括約筋に関しては交感神経弛緩が
主に働いていると考えられる。
真野的な解釈
脳脊髄神経系(運動神経、知覚神経)と自律神経系(交感、副交感神経)は
互いに密接に影響しあっており一方に問題が起きると、もう一方が底上げ
されたような状態になります。
例えば膀胱で言えば、腹部や骨盤部などに構造的な問題があると、その部分
からの知覚神経の入力により、本来なら排尿の反射発生には、膀胱壁に
10の刺激が必要なところを、5くらいの刺激で反射が起きてしまうような
感じです。
またこれは推測ですが子供の場合、脳や脊髄などの中枢神経系と、各知覚
受容器などの末梢神経系とのネットワークが十分に発達していないために、
膀胱壁に刺激があっても、中枢神経系での抑制が働かず、目覚めることなく
おねしょを、してしまうのではないでしょうか。
もう一つ、おねしょに関してはやはり精神的なストレスも関係しているよう
です。
最初にも書いたようになんらかの要因により、交感神経が底上げされた
状態になると、その分だけ少ない膀胱壁への刺激でも、排尿反射が起きて
しまう結果となります。
精神的ストレスは交感神経を興奮させる要因の一つですから、精神的ストレス
がかかると、結果的におねしょをしやすくなります。
ですから以前にも書きましたが、お母さんはお子さんを叱らないであげて
下さいね。