スティルのテクニック(3)

 

今回は、唯一残っているスティルの8ミリ映像に対する私なりの


解釈を書きたいと思います。


前回、バスカークDOのスティルテクニックについて説明したときに


その著書ではこの映像を



「肩あるいは肋骨と思われる部位にアーティキュレーションによる


 治療を施している映像」



と書いているが、私の考えではこれは鎖骨をリリースしている映像だと


思っていると書きました。


まずは、前回書いたスティルの8ミリ映像の分解写真です。
 



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バスカークDOの著書「スティルテクニック」には最後の部分に


スティルの著書「Research and Practice」からの抜粋が載っています。


その中から肩鎖関節の抜粋を紹介します。



「患者は開いた戸口にドアの側柱の平らな面を背にして立つ。


 この姿勢でアシスタントに患者のアジャストをする側と反対側の肩を


 しっかりと押さえて保持させる。


 次に医師は肘をつかんで前方、上方、外方に動かし、その間、指は


 前述したように鎖骨の外側3分の1の部分および、その裏側に


 あてがったまま保つ。


 腕を強く上外方に持ち上げた状態で鎖骨を前方に引っ張り、肩甲骨が


 十分に押されて、肩甲骨と鎖骨の肩峰端が解離したことがわかった


 時点で、指は前述のように鎖骨上に保ちながら、腕を後方および


 下方に動かして体側に持ってくる。


 次に肩甲骨が鎖骨の肩峰端より上にくるように、十分な力で腕を


 押し上げる。


 このポジションのまま、腕を上方に動かして顔の前に持っていく。


 そうしたら、その腕が体側に下がるにまかせて治療を終了する。」




この記述を読んでも、スティルがおこなっていた治療はバスカークDO


のスティルテクニックのように決まった手順があり、その通りに


おこなえば治るというようなものではない、ということがわかると


思います。


「スティルテクニック」には載っていませんが「Reserch and Practice


ではこの記述の前に、仰臥位で鎖骨をリリースさせる方法も載っています。


上記の記述ではアシスタントを使い、肩をドアの側柱で固定する形で


治療をしていますが、これをアシスタントを使わずに一人でおこなうと、


この8ミリ映像のような状態になります。


自分でも試してみましたが、左手でしっかりと鎖骨の固定ができれば、


アシスタントがいなくても十分に上記の写真のような動作で、


鎖骨のリリースを行なうことができます。


また、この一連の動きは肩鎖関節だけに限らず、肩関節周囲の


結合組織群や烏口突起に付着している上腕二頭筋短頭、肩甲骨外側の


大円筋や小円筋、肩甲骨裏面の肩甲下筋など多くの組織をまとめて


リリースさせることができる非常に効率の良いテクニックです。


この方法はフルフォード先生も多用していました。


(詳細は「サトルオステオパシー」P.168を参照してください。) 





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フルフォード先生風に言うと、「ああ、君はクッキーつぼにうまく


手を入れられないのだね。わかったよ。」という状態です。