オステオパシー的な喘息の原因(真野説)

 

 

 今回は私なりの、喘息の原因について書きたいと思います。


前回書いたように、咳は気管部分にある知覚受容器が何らかの

理由で刺激されない限り起こらないわけですから、どのようにして

咳が出るほど受容器が刺激されるのかを考えてみました。



基本的なことはスティルとケイシーが十分に言っていますので、

彼らが書いているような、脊柱のずれが発生したあとのことを

少し具体的に書きます。



まず、喘息の発作が起きる要因は大きく分けて二つあると思います。



喘息発作の要因



 1、ホコリ、冷たい空気を吸い込んだ時など外気からの刺激。


 2、夜間、寝ている時に起きる発作。




今回はこの二つの要因を、それぞれ考えてみたいと思います。

まずは双方に共通する原因です。


  1、脊柱のずれによる血管、リンパ管などの循環系の不全状態。


  2、その結果、頸部の筋肉、筋膜などに私がいつも言っている

    沈着物が蓄積していく。


  3、筋肉、筋膜に沈着物が蓄積していくと筋膜は硬く、弾力性が

    なくなる。(筋膜は沈着物が溜まると収縮していく傾向に

    あります。)

    また、筋肉も筋紡錘の伸張反射により、さらに収縮していく。


  4、そのため、より一層血管、リンパ管は締め付けられるという

    負のスパイラルに陥る。

    脈管系が締め付けられると、より薄いリンパ管→静脈→動脈

    の順に影響を受けやすいので、動脈によって送り込まれた血液は

    行き場を失い、ますます周囲の結合組織内に代謝産物などの

    沈着物が溜まっていく。


  5、気管後面の膜性壁(自律神経によりコントロールされている

    平滑筋)も沈着物の増加により、正常時よりも収縮した状態に

    なっていく。


  6、頚筋膜気管前葉や、頚筋膜椎前葉などの結合組織部分への

    タンパク質などの沈着や膜性壁の収縮により気管粘膜部分の

    知覚受容器は、つねにある一定の刺激を受けている状態になる。


  7、すると前回書いたように、本来なら静止膜電位は-70mV

    程度でなければいけないところを、受容器がインパルスを発射

    する閾値である-50mVに近いところまで、つねに電位が

    上がった状態になる。


   8、その結果、通常なら反射が起こらないようなほんのわずかな

     受容器に対する刺激でも簡単に閾値を越えて、受容器から

     インパルスが発射され、咳嗽反射を起こして咳が出る。



これが私なりの喘息発作の機序です。

次に最初に書いた二つの要因についてそれぞれ説明したいと思います。



喘息発作の要因



 1、ホコリ、冷たい空気を吸い込んだ時など外気からの刺激。
 
   
   これは特に難しく考えなくてもよいと思います。

   ホコリや冷気などで、膜電位が閾値ギリギリになっている受容器が

   刺激され、通常なら咳嗽反射が起こらないような、軽い刺激でも

   反射が起こり、咳が出てしまうということです。




 2、夜間、寝ている時に発作がおきる。


   これは、以前に「足がつる原因(真野説)」の時に書いたことと、

   同じ現象が起きているのだと思います。

   夜間、寝ている時に足がつるのは寝ているあいだは副交感神経が

   優位になるので、体液循環が良くなり沈着しているタンパク質が

   溶けて膨らみ、筋紡錘の張力を上げるために足がつるのだと

   書きました。

   気管の後面は膜性壁ですが、これは平滑筋という筋肉でできています。

   寝ている間は、副交感神経が優位になるのと、起きている時と比べて

   重力の影響が少なくなるので、この部分の血流もやはり増加します。

   すると膜性壁の部分に沈着したタンパク質が溶け出してきて、平滑筋

   を収縮させ、気管を締め付けるため知覚受容器は刺激されます。

   また、頚筋膜気管前葉などの結合組織部分の沈着物も血流の増加に

   より溶けて膨張してくると考えられます。

   その結果、知覚受容器が刺激されて咳嗽反射が起こり咳が止まらなく

   なるということになります。



喘息の原因(西洋医学的)の時に、私は減感作療法は効果が無いと思っている

と書きました。

上記の説明で、何故私が減感作療法は効果が無いと思っているか理解して

いただけたでしょうか。

アレルギーのもとになる、微粒子をいくら静脈内に注射したところで

頚部の知覚受容器に対する圧迫は、決して取り除くことはできないからです。

以上が私なりに考えた喘息の原因です。

治療に関しては、スティルとケイシーが十分に書いていますので、その通りに

行なえばよいと思います。