四十肩、五十肩の原因とオステオパシーによる治療(1)

 

四十肩、五十肩と呼ばれる症状は誰もが聞いたことがあると思います。

簡単に言うと腕を上げると肩に痛みが出て、ある角度以上は上げる

ことが出来ないというものです。

整形外科系の本にもこの名前は出てきますし、症状に関しての説明は

書かれていますが、原因、治療法についてはほぼ何も書かれていない

というのが実情だと思います。

私も「整形外科痛みへのアプローチ」というシリーズものの本を持って

います。

しかし、どれも病名と症状についてはたくさん書いてありますが手術以外

の対策については何も無いと言って良いと思います。

この本を買った目的も、自分の施術の参考にするためではなく私の所に

来られた方たちが、過去に病院でどのような治療を受けたのかを調べる

ためなので内容については、「まあこんなものだろうな」というくらいの

感想しかありませんでしたが。

今回はスティルの著書ではなく、私の今までの経験から書きたいと思います。

結論から言うと、肩を上げるために必要な筋肉、靭帯、骨、関節などに

機能障害が起きているため、というごく当たり前のことですが、症状が

同じでも原因は、人それぞれ微妙に違います。

ちなみに、過去に肩の症状で来た人達は今のところは全員、症状を

取り除いてあげることが出来ています。

これから先はまだ、わかりませんが。



私の施術の順序としては



  1、歪んで固まってしまっている、鎖骨、肩甲骨などの骨膜の

    リリースを行なって、骨の形を元に戻すとともに、骨の

    弾力性を回復させる。

  2、肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節などの、硬くなって短縮

    してしまっている結合組織を緩める。

  3、肩関節を動かすための筋肉で、問題を起こしているものを

    緩める。

  4、頚椎、胸椎、肋骨など肩以外の問題を取り除く。



このような順序で行なっていきます。

ただ、幾つかのことを同時に行っている場合もあるので、順序は厳密

なものではありません。

まずは肩周辺の筋肉から、見ていきましょう。






背面から見た図



$白山オステオパシー院長のブログ





前面から見た図

$白山オステオパシー院長のブログ


上の図では、実際にはさらに表層に僧帽筋と広背筋という筋肉が

ありますが、これらの筋肉は切り取られた状態になっています。

また、下の図では前鋸筋が切り取られた状態です。

肩周囲にはローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)

さらに内側で脊柱からは大菱形筋、小菱形筋、肩甲骨外側には大円筋、

表層には三角筋、肘の曲げ伸ばしには上腕二頭筋、上腕三頭筋、

前面には前鋸筋や鎖骨下筋、他にも烏口腕筋、頸椎からは肩甲挙筋

など、本当に多くの筋肉が付着しています。

そして、そのどれもが問題を起こす可能性を持っているので、

きちんと触診をして問題を起こしている筋肉を見つけなければ

いけません。

特に肩甲下筋や前鋸筋は肩甲骨の裏側に付着しているため

マッサージなどでは、相当勉強しているマッサージ師さんで

ないかぎり、問題を取り除くことは不可能だと思います。

オステオパスの場合は、解剖学にもとづいて一つ一つの筋を

触り分ける訓練をしていますので、触ればどこに問題があるかを

見つけて取り除くことができます。

長くなりますので、今回はここまでにしておいて次回は肩関節周囲

の結合組織と、動脈の走行について書きたいと思います。